きなこちゃんの物語、はじまる
これは
南の島 バリ島へ行く きなこちゃんの物語です。
きなこちゃんは、これまで数えきれないほどバリに行ってきました。
20回目くらいまでは数えていましたが、そのあとはめんどくさくなって数えていません。
でも、まぁ、数なんてどうでもいいのです。
きなこちゃんは、知らないこと、新しいことを知るのが大好きです。
友達と遊ぶより、自分の頭の中でいろいろな空想をしているのが楽しいと思っています。
おとなしいし、動きもとてものろいのですが、なにかを知りたい! やりたい!と思ったら、何も考えずにすぐにそこへ向かって突進していきます。
あ。
これを書いているわたしの話をしておきましょう。
わたしは、きなこちゃんをいちばんよく知っている人、だと思います。
おとなになったわたしは、人見知りのきなこちゃんに比べたら、知らない人と上手につきあうことができるようになりました。
でも、おとなになったぶん、何かをする前に考えたり、迷ってしまうようになりました。
東京の生活のなかでは息を潜めているきなこちゃんですが、バリに行くと、にわかに存在感を発揮します。
3歳の頃のように。
恥ずかしくてものかげから周囲をうかがっているけれど、思い立ったら大胆に飛び込んでいきます。
ほんのすこしでも、バリの空気をからだに入れたいから。
使い慣れている日本の言葉や、うわっつらのおとなの言葉で取り繕うことができないから、気持ちで、思いで、魂のようなもので、知りたいこと、やりたいことにぶつかっていきます。
それは、なに?
踊りと音楽。
バリの踊りと音楽。
バリの踊りと音楽!!
これは、そんなきなこちゃんが見てきた、見ている、これから見るバリのお話です。
さあ、物語の旅のはじまりです。